カラスっぽいブログ

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タグ:黒澤明



・雑感

問答無用の名作という事で、神格化されている感じがするが、まあそれなりに面白かった。
日本映画の名作、あるいは世界の名作として、まず間違いなく名前があがる本作だが、エンターテイメント大作としてそれなりに楽しく視聴できたし、面白くはあるものの、すごく良かったと言うほどではなかった。
無駄のない構成、分かりやすいキャラ、迫力のある合戦シーンと、見所は多いものの、じゃあ、神映画だったかと問われれば、それほどでもなかったと、答えざるを得ない。
点数的には、70点くらいかな。

もちろんこれはこの作品を貶しているわけではなくて、普通に面白かったけれど、考えていたほどではなかった、ということだ。
正直言って、なぜこの映画が神作扱いされているのか疑問に思ったほどだ。確かに面白いことは面白いけれど、それほどでもなくね?、と。
事前の期待値が高いから、そう思ってしまったのかもしれないが…、しかし、あまり期待せずに見たとしても、80点を越えることはなかったと思う。
確かにこの映画は、誰が見ても何かしら面白さを見つけるのことのできる作品だと思う。そういった懐の広さは、素晴らしいと思うし、多くの人に受け入れられる作品だろう。
しかしそのぶん、心を抉るような作品ではなかったし、深い印象を残すということもなかった。
そういったところが、不満というほどではないにしろ、なにやら肩透かしをくらってしまったようで、なんだか微妙な感想を持ってしまった。
名作と呼ばれている作品なのに、いまいち印象に残らないなあ…、という。


これは、自分がエロゲーマーであるからこそ、こういった感想を持ってしまったのかもしれない。
エロゲーの名作というものはどこか歪でとんがった、決して万人向けではないけれど、一部の人の心に刺さる、そういう作品が多い。
そして、そういった作品のあくの強さや濃さになれてしまい、名作とはこういうものという固定観念を持ってしまうと、こういったまっとうな「名作」に対して物足りなさを感じてしまうのかもしれない。

例えば、エロスケで点数的にほぼ同じくらいの評価をしている作品に『euphoria』『無限煉姦 ~恥辱にまみれし不死姫の輪舞~』がある。
どちらの作品も、世間的に名作扱いされてはいるが、いまいち自分にはピンとこなかった作品で、この点『七人の侍』に対する評価と似たような評価を下している。
ただしかし、点数的に同じといっても、作品そのものから受ける印象という面では大きな違いがあったりする。
『euphoria』であれ『無限煉姦』であれ、いまいち自分には合わなかったものの、自分の心に対する影響は結構大きいものがあり、まるで棘がなかなか抜けないかのように、いまだにもやもやとしたものを引っ張っている、そういうところがある。
もちろん、すごく感動したとか、人生観が変わったとか、そういう事はぜんぜんなくて、むしろ、いまいち理解できなかったり、ちょっと反発を感じる部分もあったりというような感じで、そこまで大きい影響を受けているというわけではない。
けれど、このふたつのあくの強いそして濃い作品は、感動したかしないかに関わらず、読者の心に対して楔を打ち込んでしまうような作品であり、決して好きな作品ではないものの、非常にエロゲ的な名作だといっていい。

それに比べ『七人の侍』はあとくされなく見ることができるし、心に引っかかりをおぼえる部分もない。
それが一体どうして不満なのか?、と問われればこう答えるだろう、あくの強さが足りない、なんかものたんない、と。
いったい映画に対して何を求めているのだお前は、とツッこまれてしまうかもしれないが、事実そう感じてしまったのだから仕方がない。
全てにそつなくまとまった、非常に無駄のない作品で、非常に優秀な映画だというのはわかるし、作り手の側からも賞賛されているというのも、それはそれで分かる気がする。
だから、「映画」の名作として認めることに抵抗はない、事実名作なのだろう、けれど、その一方で感じる物足りなさというものがあるが、これはエロゲーマーであるが故に感じてしまうものなのか、それともそうではないのか………。



カラスの書いた感想

euphoria 無限煉姦



・戦争映画としての『七人の侍』

時代劇だと思って見てみたら、意外にも戦争映画みたいな映画だった。
もちろん規模そのものは小さく、ひとつの村を野武士から防衛するという、およそ「戦争」という言葉から感じるロマンとはかけ離れた小さい規模のお話ではある。
しかし、この作品の規模や舞台は小さいものの、立派に戦争しているし、戦争というロマンの持つ面白さをギュッと詰め込んでいる作品だ。

戦術・戦略を描き、戦争ならではのシビアな現実(大を救うために小を切り捨てる的な)も描き、そして、戦争であるが故のあっけない死をも描いている。
およそ、戦争映画と人が聞いて思い浮かべるたいていのことは、この作品の中で描かれているといってもいいのではないか。
もちろん、この作品が時代劇であるのは間違いないが、それ以前に戦争映画であり、この作品の本質はそこにあると思う。

確か、井沢元彦の本で読んだ記憶があるのだけれど、その昔この作品に対する批判として、「日本の再武装に肯定的」だとか「自衛隊賛美」といったようなあまりにも見当違いな批判があったらしい。
その本を読んだときは、まだこの映画を未視聴だったので、バカだなぁくらいにしか思わなかったものの、しかし、視聴した今となっては、意外にその批判はこの映画の本質をついているのではないかと思う。
べつに、そういった類の批判に同調しようとか賛成しようとかそういったことではない。ただ、この作品の本質が戦争映画であると考えたときに、一部の人はそういった批判をするというのも、それはそれで納得できるというか、いや納得はしないけどありえることだなあ、と。
舞台は戦国時代ではあるものの、基本的には戦争を扱った映画であり、そういうのが嫌いな人が見たらアレルギーを起こすのは、まあ無理もないかもしれないな、と。

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戦時中に作られたプロパガンダ映画という事でやや構えて見始めたものの、なんだか普通に楽しめてしまった。
無論、時代が違うが故の違和感だとか引っかかりだとかはあるものの、基本的には普通に楽しめる青春スポ根映画だった。

スポ根と書いたが、バレーボールやサッカーを題材にしているわけではなく、あくまで、工場における女子たちの勤労の日々が描かれるわけだが、本質はスポ根であって、戦前だろうが戦後だろうが、日本人ってのは変わってないんだなあ~と思わせる映画だった。
この映画に対して、嫌悪感や違和感を持った人は頭の中で題材を変換してみると良い。
工場での勤労をバレーボールだとかに変えて見れは、不思議なくらいに違和感のない、青春感動スポ根映画だという事に気づいてしまうはず。
日本人って変わってないんだなあ~って思ったのはそういうところで、このみんなで一生懸命頑張ります主義みたいなものは、戦前であろうと戦後であろうとまったく揺らいでいない。
確か塩野七生のエッセイだったと思うけど、日本人のこういった一生懸命主義というのは、外国人の目から見るとやや奇異に映るらしく、ちょっと引かれてしまった、などと書いてあったのを記憶している。
日本人としてはあんまピンと来ないし、みんなで一丸となって一生懸命やることの一体どこがいけないのか?、と疑問に思ったりするものだ。

しかし、この作品を見ると、外国人の目から日本人を見るとどう見えるか、という事を疑似体験できる。
戦争中の日本などというのは、現代日本人にとってはなかば異国のようなものだから、そのまるで外国のような場所で、日本的な一生懸命主義というものを見せつけられると、ウーン…となってしまう。
塩野七生が書いてた、外国人が日本人の一生懸命さと団結力を見てちょっと引いてしまうという感覚は、こういう感じなのか、と。
そういう意味で非常に貴重な体験をすることができた、と思ったね。


まあ、そういっためんどくさい事を考えずとも、女子がたくさんでてきてわきゃわきゃしてくれる映画として、普通に楽しめばよいのだろう。
登場人物はやや多く、20人近くも女子がでてくるが、意外にもそんなに気にならないのは、「彼女たち」こそが主人公であって、「彼女たち」の青春を描いた映画だからだ。
もちろん「彼女たち」を代表するような登場人物はいるが、あくまで代表なのであって、「彼女たち」こそが真の主人公だろう。
プロパガンダ映画であるというのを頭から放り出して、あまり深く考えずに「彼女たち」を見守るつもりで鑑賞すれば、普通に楽しめると思う。
ただ、やたら善人ばっかり出てくるところがちょっとどうかって感じだが、この映画は今で言えば、文部省推薦の反戦映画みたいなノリなので、まあ、そこはしょうがないかな、と思う。



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戦後間もない頃に作られた、貧しい恋人たちの「一日」を描いた作品。
登場人物は少なく、起こる事件も小さい、全体的に小さくまとまっている感じだが、それは悪い意味ではなくよい意味で、良質な小品とでもいうべき、あまり目だたないけれどきらりと光る魅力を持った作品、という感じだ。
黒澤映画というと、時代劇やシリアス現代劇の印象が強いが、こんな感じのなんてことない日常を描いた作品もある、というのが意外だ。

なんてことない、と書いたが、この作品は、なんてことのない日常の風景を劇的に描いており、そこはやはり黒澤映画なのかなあ、と思う。
特に後半においてはそれが顕著で、ロケではなくセットでの撮影であることもあいまって、非常に劇的な、良い意味で作り物らしい感じの画面に仕上がっている。
本来ならばロケで撮りたかったらしいが、色々と都合があってセットになってしまったらしいということ、けれど、セットでなければ、あの作り物めいた美しさは描けなかっただろう。
そういった意味では怪我の功名とでもいうべきシーンで、これに関してはロケでなくセットでよかったと、思っている。


恋人たちの一日を描いた作品という事で、なにやら甘酸っぱい、ロマンチックなシーンばかり続くと思う人もいるだろう、しかし、この作品は戦後の現実を容赦なく描いた作品でもあり、恋人たちの一日の合間合間に、そういったみもふたもない「現実」が差し挟まれる。
小汚い格好をした浮浪児、いかにも悪いことしてお金儲けましたって感じの成金、たかりのプロ、そして焼け野原のあとに立つまばらな建物。
そういった、あまり綺麗とはいえない、現実そのものとしか言いようのないものを描きつつも、決して汚い画面になっていないというのが驚かされる。
そもそもにおいて、主役の二人からして貧乏で、数少ないお金をちまちま使いながらデートをしているのであり、お金に縛られた貧乏臭い一日といえば言える。
そうであるにもかかわらず、二人の一日には独特の美しさがある、現実を容赦なく描きつつも、貧しい恋人たちの美しい一日を描ききった、というところがこの作品の良さだろう。


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