いい意味で浅い作品だと思う。
一般的に言って、いい作品とは深い作品であり、浅い作品とは、あまりよくない作品である、とそういう事になっている。
深い/浅いとは、そもそも何を指していっているのか?、という疑問はあるが、それはこの際置いておいて、一般的には、良い作品とは深い作品であり、深い作品は良い作品である、という事になっている。

この作品は日仏の交流を描いたドキュメンタリー作品だが、東西の文化衝突だとか、考え方の違いだとか、そういったシリアステーマにはあまり触れずに、終始表面的な部分をのみ映している。
そういった意味では非常に浅い作品だと思う、が、しかし、だからといってダメな作品かと言うとそうは思わない。

描かれるのは日本人にしろフランス人にしろ、ごくごく一般的な人たちであり、普通でない所といったら、なんらかの形で日仏関係にかかわっているところくらい。
そういった普通の人たちの交流と、お互いの国に対する印象と感想だけで成り立っているといってもいいくらいで、考察無しの観察記のようなものだ。
しかし、表面的な部分しか映していないとはいえ、観察に徹しているぶん見やすくて面白い。下手な考察なんぞはない方がましだから。
こういった、良い意味でぬるいドキュメンタリーというのも、なかなかよいものだと思ったね。