子供向けに書かれたやさしくて読みやすい本だけれども、結構読み応えのある内容で、読んで良かったと思える本だった。この本の大胆なところは、序盤の天地創造やイヴとアダムのエピソードをばっさりカットして、まるでひとつの歴史物語であるかのように、ユダヤ民族の物語を描いているところだ。そういう意味では宗教臭が薄く、人間ドラマの部分が濃い。いわば、歴史小説を読むようなノリで読むことができる本なので、宗教・神話に抵抗があるような人でも、すらすらと読み進めることができるんじゃなかろうか。一応子供向けとなってはいるが、子供・大人関係なく、旧約聖書の入門書として優れた内容だと思うし、単純に読み物として面白い。個人的に印象に残ったのはダビデとアブサロムのエピソードで、やたら生々しいところが良かった。「アブサロム、アブサロム!」が、すごく頭に残る。
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