カラスっぽいブログ

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カテゴリ:映画 > 日本映画



原作は司馬遼の同名の長編。読んだのは結構昔なので内容はほとんど覚えていない。なので、この映画がどれくらい原作に忠実か、とかそういったことを語ることはできない。しかし、これだけは言える、詰め込みすぎだ!、と。歴史に対する知識がない人が見たらついていくことができなかったんじゃなかろうか。もうちょっとなんとかならなかったのか。二人の主人公である三成と家康、それぞれのヒロインに対する対照的な扱いや思い、そういった私的でミクロな物事から、当時の日本の情勢や各大名家の動きといったマクロな動きも描き、終盤になってようやく合戦が始まるものの、短い時間なのであっさり終わってしまうという、この中途半端さ。あらゆる要素を贅沢に詰め込もうとしたら、どの要素も中途半端になってしまい、おかげでスカスカな作品に見えてしまう。いやまあ、そんなに悪い作品とは思わないし、自分としてはそれなりに楽しめたものの、それは、歴史に対する予備知識があったからかろうじて楽しめただけで、歴史に対してあまり興味がない人が見たら結構きついだろうな、とは思う。とはいえ、三成の愛人初芽ちゃんがすごくかわいかったので、まあまあ許せる。
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茶人利休と秀吉との確執を描いた作品。
勅使河原宏監督作品は初めてなんだけど、予想していたよりもわかりやすく普通に鑑賞する事ができた。もう少しアートっぽい作風なのかなって思ってたんだけど、さいわいそんなことはなく、重厚な歴史映画、という感じ。
ただ、ある程度日本史の知識がないと辛いかなと、思う部分はある。
少なくとも、信長と秀吉に関する基礎知識くらいはないと、ちょっとついていけないかもしれない。従って万人向けとは言い難い内容だが、主人公が利休でテーマが茶道なので、この映画に興味持つ人って、ある程度歴史の知識がある人だと思うんだよね、だからこれくらい不親切でも、まあいいかなという気はする。

秀吉と利休、というテーマを扱った作品というと、真下が監督した『へうげもの』くらいしか知らないので、この作品が利休秀吉作品を扱った作品としてどんな立ち位置なのか、どれくらいの出来なのか、という事は判断できない。しかし、この作品で描かれる利休が、非常に一般的というか、おそらく正統的な利休像であろうことは、自分にもわかる。
基本敬語系で、物静かで、謙虚、という感じの茶人利休を描いており、いかにもという感じだ。
秀吉のほうも秀吉で、非常に秀吉っぽい感じ。
冒頭において二度、秀吉の足元がアップで映されるんだけど、金の足袋をはいているんだよね、いかにも秀吉っぽい。あと、飯の食い方が粗野なところとかも、印象深かった。
要するに、いかにもな成り上がりものとして、利休とは対照的に描かれているわけだが、これも非常に一般的というか、ごくまっとうな秀吉像であり、奇を衒った部分はない。

まあ、要するにおおざっぱにこの作品を説明すると、重厚で正統的な歴史映画っ感じだった。
意外性とかはあんまりないんだけど、画面の持つ美しさと俳優の演技に見ごたえがあり、なかなか面白かった。
特に、山崎努の演じた秀吉は怪演といってもいいくらいの迫力と存在感があり、この人の演ずる秀吉をもっと見たいと思わせる。
利休の弟子の態度に激怒して、処刑を申しつけるシーンなんかは、いかにも権力者って感じの狂気じみた迫力があって印象深い。演技っていうより、顔の迫力がすごいんだよね、顔の演技っていうべきかな。
このシーンだけでなく、全体的に、いかにも最高権力者って感じの、不遜さ我儘さ、そして人の話を聞かないところ(笑)、が良く描かれていて、これは映像作品独自の「感じ」だなあと思ったね。

あと最後にひとつ、すごく印象に残ったのは、松本幸四郎演じる信長がやたら印象に残った。
信長の持つ狂気じみた感じがよく出ており、あの独特の高笑いが耳をついて離れない。
出番はほんの十分かそこらなんだけど、この幸四郎信長はやたら存在感があり目だつ、そして印象に残る。もっと見たいなと思わせる怪演だった。

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いい意味で浅い作品だと思う。
一般的に言って、いい作品とは深い作品であり、浅い作品とは、あまりよくない作品である、とそういう事になっている。
深い/浅いとは、そもそも何を指していっているのか?、という疑問はあるが、それはこの際置いておいて、一般的には、良い作品とは深い作品であり、深い作品は良い作品である、という事になっている。

この作品は日仏の交流を描いたドキュメンタリー作品だが、東西の文化衝突だとか、考え方の違いだとか、そういったシリアステーマにはあまり触れずに、終始表面的な部分をのみ映している。
そういった意味では非常に浅い作品だと思う、が、しかし、だからといってダメな作品かと言うとそうは思わない。

描かれるのは日本人にしろフランス人にしろ、ごくごく一般的な人たちであり、普通でない所といったら、なんらかの形で日仏関係にかかわっているところくらい。
そういった普通の人たちの交流と、お互いの国に対する印象と感想だけで成り立っているといってもいいくらいで、考察無しの観察記のようなものだ。
しかし、表面的な部分しか映していないとはいえ、観察に徹しているぶん見やすくて面白い。下手な考察なんぞはない方がましだから。
こういった、良い意味でぬるいドキュメンタリーというのも、なかなかよいものだと思ったね。
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・雑感

問答無用の名作という事で、神格化されている感じがするが、まあそれなりに面白かった。
日本映画の名作、あるいは世界の名作として、まず間違いなく名前があがる本作だが、エンターテイメント大作としてそれなりに楽しく視聴できたし、面白くはあるものの、すごく良かったと言うほどではなかった。
無駄のない構成、分かりやすいキャラ、迫力のある合戦シーンと、見所は多いものの、じゃあ、神映画だったかと問われれば、それほどでもなかったと、答えざるを得ない。
点数的には、70点くらいかな。

もちろんこれはこの作品を貶しているわけではなくて、普通に面白かったけれど、考えていたほどではなかった、ということだ。
正直言って、なぜこの映画が神作扱いされているのか疑問に思ったほどだ。確かに面白いことは面白いけれど、それほどでもなくね?、と。
事前の期待値が高いから、そう思ってしまったのかもしれないが…、しかし、あまり期待せずに見たとしても、80点を越えることはなかったと思う。
確かにこの映画は、誰が見ても何かしら面白さを見つけるのことのできる作品だと思う。そういった懐の広さは、素晴らしいと思うし、多くの人に受け入れられる作品だろう。
しかしそのぶん、心を抉るような作品ではなかったし、深い印象を残すということもなかった。
そういったところが、不満というほどではないにしろ、なにやら肩透かしをくらってしまったようで、なんだか微妙な感想を持ってしまった。
名作と呼ばれている作品なのに、いまいち印象に残らないなあ…、という。


これは、自分がエロゲーマーであるからこそ、こういった感想を持ってしまったのかもしれない。
エロゲーの名作というものはどこか歪でとんがった、決して万人向けではないけれど、一部の人の心に刺さる、そういう作品が多い。
そして、そういった作品のあくの強さや濃さになれてしまい、名作とはこういうものという固定観念を持ってしまうと、こういったまっとうな「名作」に対して物足りなさを感じてしまうのかもしれない。

例えば、エロスケで点数的にほぼ同じくらいの評価をしている作品に『euphoria』『無限煉姦 ~恥辱にまみれし不死姫の輪舞~』がある。
どちらの作品も、世間的に名作扱いされてはいるが、いまいち自分にはピンとこなかった作品で、この点『七人の侍』に対する評価と似たような評価を下している。
ただしかし、点数的に同じといっても、作品そのものから受ける印象という面では大きな違いがあったりする。
『euphoria』であれ『無限煉姦』であれ、いまいち自分には合わなかったものの、自分の心に対する影響は結構大きいものがあり、まるで棘がなかなか抜けないかのように、いまだにもやもやとしたものを引っ張っている、そういうところがある。
もちろん、すごく感動したとか、人生観が変わったとか、そういう事はぜんぜんなくて、むしろ、いまいち理解できなかったり、ちょっと反発を感じる部分もあったりというような感じで、そこまで大きい影響を受けているというわけではない。
けれど、このふたつのあくの強いそして濃い作品は、感動したかしないかに関わらず、読者の心に対して楔を打ち込んでしまうような作品であり、決して好きな作品ではないものの、非常にエロゲ的な名作だといっていい。

それに比べ『七人の侍』はあとくされなく見ることができるし、心に引っかかりをおぼえる部分もない。
それが一体どうして不満なのか?、と問われればこう答えるだろう、あくの強さが足りない、なんかものたんない、と。
いったい映画に対して何を求めているのだお前は、とツッこまれてしまうかもしれないが、事実そう感じてしまったのだから仕方がない。
全てにそつなくまとまった、非常に無駄のない作品で、非常に優秀な映画だというのはわかるし、作り手の側からも賞賛されているというのも、それはそれで分かる気がする。
だから、「映画」の名作として認めることに抵抗はない、事実名作なのだろう、けれど、その一方で感じる物足りなさというものがあるが、これはエロゲーマーであるが故に感じてしまうものなのか、それともそうではないのか………。



カラスの書いた感想

euphoria 無限煉姦



・戦争映画としての『七人の侍』

時代劇だと思って見てみたら、意外にも戦争映画みたいな映画だった。
もちろん規模そのものは小さく、ひとつの村を野武士から防衛するという、およそ「戦争」という言葉から感じるロマンとはかけ離れた小さい規模のお話ではある。
しかし、この作品の規模や舞台は小さいものの、立派に戦争しているし、戦争というロマンの持つ面白さをギュッと詰め込んでいる作品だ。

戦術・戦略を描き、戦争ならではのシビアな現実(大を救うために小を切り捨てる的な)も描き、そして、戦争であるが故のあっけない死をも描いている。
およそ、戦争映画と人が聞いて思い浮かべるたいていのことは、この作品の中で描かれているといってもいいのではないか。
もちろん、この作品が時代劇であるのは間違いないが、それ以前に戦争映画であり、この作品の本質はそこにあると思う。

確か、井沢元彦の本で読んだ記憶があるのだけれど、その昔この作品に対する批判として、「日本の再武装に肯定的」だとか「自衛隊賛美」といったようなあまりにも見当違いな批判があったらしい。
その本を読んだときは、まだこの映画を未視聴だったので、バカだなぁくらいにしか思わなかったものの、しかし、視聴した今となっては、意外にその批判はこの映画の本質をついているのではないかと思う。
べつに、そういった類の批判に同調しようとか賛成しようとかそういったことではない。ただ、この作品の本質が戦争映画であると考えたときに、一部の人はそういった批判をするというのも、それはそれで納得できるというか、いや納得はしないけどありえることだなあ、と。
舞台は戦国時代ではあるものの、基本的には戦争を扱った映画であり、そういうのが嫌いな人が見たらアレルギーを起こすのは、まあ無理もないかもしれないな、と。

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戦時中に作られたプロパガンダ映画という事でやや構えて見始めたものの、なんだか普通に楽しめてしまった。
無論、時代が違うが故の違和感だとか引っかかりだとかはあるものの、基本的には普通に楽しめる青春スポ根映画だった。

スポ根と書いたが、バレーボールやサッカーを題材にしているわけではなく、あくまで、工場における女子たちの勤労の日々が描かれるわけだが、本質はスポ根であって、戦前だろうが戦後だろうが、日本人ってのは変わってないんだなあ~と思わせる映画だった。
この映画に対して、嫌悪感や違和感を持った人は頭の中で題材を変換してみると良い。
工場での勤労をバレーボールだとかに変えて見れは、不思議なくらいに違和感のない、青春感動スポ根映画だという事に気づいてしまうはず。
日本人って変わってないんだなあ~って思ったのはそういうところで、このみんなで一生懸命頑張ります主義みたいなものは、戦前であろうと戦後であろうとまったく揺らいでいない。
確か塩野七生のエッセイだったと思うけど、日本人のこういった一生懸命主義というのは、外国人の目から見るとやや奇異に映るらしく、ちょっと引かれてしまった、などと書いてあったのを記憶している。
日本人としてはあんまピンと来ないし、みんなで一丸となって一生懸命やることの一体どこがいけないのか?、と疑問に思ったりするものだ。

しかし、この作品を見ると、外国人の目から日本人を見るとどう見えるか、という事を疑似体験できる。
戦争中の日本などというのは、現代日本人にとってはなかば異国のようなものだから、そのまるで外国のような場所で、日本的な一生懸命主義というものを見せつけられると、ウーン…となってしまう。
塩野七生が書いてた、外国人が日本人の一生懸命さと団結力を見てちょっと引いてしまうという感覚は、こういう感じなのか、と。
そういう意味で非常に貴重な体験をすることができた、と思ったね。


まあ、そういっためんどくさい事を考えずとも、女子がたくさんでてきてわきゃわきゃしてくれる映画として、普通に楽しめばよいのだろう。
登場人物はやや多く、20人近くも女子がでてくるが、意外にもそんなに気にならないのは、「彼女たち」こそが主人公であって、「彼女たち」の青春を描いた映画だからだ。
もちろん「彼女たち」を代表するような登場人物はいるが、あくまで代表なのであって、「彼女たち」こそが真の主人公だろう。
プロパガンダ映画であるというのを頭から放り出して、あまり深く考えずに「彼女たち」を見守るつもりで鑑賞すれば、普通に楽しめると思う。
ただ、やたら善人ばっかり出てくるところがちょっとどうかって感じだが、この映画は今で言えば、文部省推薦の反戦映画みたいなノリなので、まあ、そこはしょうがないかな、と思う。



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まあとりあえず面白かったと思います。
あまり深さや重さを感じさせる作品ではなくて、いい意味で軽い作風なので、あんま考えずに寝そべってみたりするのがよいかも。

ストーリーはわかりやすく、キャラクターも判別しやすく、短い時間にストレートなシナリオをぎゅっとつめたって感じだが、この作品はシナリオやキャラを楽しむというよりも、監督の美意識を楽しむ作品なので、小難しいことはたぶんどうでもいいのだ。


まず、誰が見ても目に付くのがその色彩センス。
原色をドカッと豪勢に使い、まるで画面がキャンバスであるかのように色を塗りたくっている。
しかし、原色だからといって、あくが強かったり見ててつらいという事は全然なくて、普通に見やすく、わかりやすくて面白い。
この見やすさ・わかりやすさはストーリーを追う上で云わば追い風のような役割を果たしているのかも知れない、無駄なものをばっさり切り落としたその画面構成は、監督の美意識に酔わせてくれる一方、シナリオ進行の上で最低限のものが配置されているだけなので、あまり頭を使わなくてすむ。
そして、色使いだけでなくセットも特徴的で、抽象の二歩手前位で留まった簡素なセットは、無駄なものがないぶん分かりやすい上に、独特の美しさを持っている。

音楽や歌の使い方もなかなか上手い、真下信者ならばきっと好きになるだろうタイプの使い方だ。
そして、歌の流し方と映像とのハモリ具合がいいというだけでなく、「歌」というものを登場人物の感情表現の一つしてもちいていて、そこが印象に残った。
オペラみたいというわけではないけれど、要所要所において、歌が、登場人物の感情を自然に且つ無理ない形で表現しており、またその使い方・流し方が実に自然で、ミュージカルやオペラのような不自然さは欠片もないところが素晴らしい。

アクションシーンも独特の癖がありなかなか面白かった。
ヤンマーニ風のアクションシーンで、仮に『MADLAX』のヤンマーニ降水確率を100%とすると、この作品は大体20%から30%くらい。
ヤンマーニを気にするほどでもないけれど、時によってヤンマーニするので注意は必要という、それくらいのヤンマーニなんだけど、アクションシーンの合間合間に見かけるヤンマーニが、良いアクセントになっている。


鈴木清順については、その昔、真下に関する文章を読んでいて初めて知り、興味を持って『ピストルオペラ』を見てみたら、ただのオナニー映画で激烈につまらない作品だったので、その後興味を失ってしまった、という経緯がある。
今回、なんとなく鈴木清順のことが気になってこの作品を見てみたんだけど、普通に楽しめる作品でよかった。
『ピストルオペラ』はじじいの時に作った映画なので、たぶん代表作じゃないんだろう、あれを最初に見たのが悪かった。
その点この作品は、現役時代に撮った映画なので、内容はすごくまとも。
難解さは欠片もなく、ごくまっとうなエンタメ映画であり、安心して視聴することが出来た。
すごく面白かったというわけではないけれど、監督独自の美意識が非常に面白く、画面をうっとりしながら眺めたり、歌の使い方の見事さに感嘆しながら聞きほれたり出来たので、そこそこ満足。



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戦後間もない頃に作られた、貧しい恋人たちの「一日」を描いた作品。
登場人物は少なく、起こる事件も小さい、全体的に小さくまとまっている感じだが、それは悪い意味ではなくよい意味で、良質な小品とでもいうべき、あまり目だたないけれどきらりと光る魅力を持った作品、という感じだ。
黒澤映画というと、時代劇やシリアス現代劇の印象が強いが、こんな感じのなんてことない日常を描いた作品もある、というのが意外だ。

なんてことない、と書いたが、この作品は、なんてことのない日常の風景を劇的に描いており、そこはやはり黒澤映画なのかなあ、と思う。
特に後半においてはそれが顕著で、ロケではなくセットでの撮影であることもあいまって、非常に劇的な、良い意味で作り物らしい感じの画面に仕上がっている。
本来ならばロケで撮りたかったらしいが、色々と都合があってセットになってしまったらしいということ、けれど、セットでなければ、あの作り物めいた美しさは描けなかっただろう。
そういった意味では怪我の功名とでもいうべきシーンで、これに関してはロケでなくセットでよかったと、思っている。


恋人たちの一日を描いた作品という事で、なにやら甘酸っぱい、ロマンチックなシーンばかり続くと思う人もいるだろう、しかし、この作品は戦後の現実を容赦なく描いた作品でもあり、恋人たちの一日の合間合間に、そういったみもふたもない「現実」が差し挟まれる。
小汚い格好をした浮浪児、いかにも悪いことしてお金儲けましたって感じの成金、たかりのプロ、そして焼け野原のあとに立つまばらな建物。
そういった、あまり綺麗とはいえない、現実そのものとしか言いようのないものを描きつつも、決して汚い画面になっていないというのが驚かされる。
そもそもにおいて、主役の二人からして貧乏で、数少ないお金をちまちま使いながらデートをしているのであり、お金に縛られた貧乏臭い一日といえば言える。
そうであるにもかかわらず、二人の一日には独特の美しさがある、現実を容赦なく描きつつも、貧しい恋人たちの美しい一日を描ききった、というところがこの作品の良さだろう。


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