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カテゴリ:歴史 > 西洋史



教科書的なというかモロ教科書な本。
大学の講義で使う事を想定して作られた本なので、一節一節の長さがちょうどよく、長さ的な意味で読みやすい。内容も、基本的には基礎知識の伝達に重きが置かれているため、あまりマニアックな内容に偏することはない。それに、教科書といっても、だらだらと史実を積み重ねるようなタイプの冗長な叙述ではなく、テーマごとに叙述するというタイプなので、読みにくいという事はないし、興味のあるところから読むというスタイルで読み進めることができる。
教科書ではあるが、一応読み物としても合格という感じの本で、すごく面白いという事はないが、だからといって読むのが苦痛というわけではなく、基礎知識を摂取したり事実を確認するうえでは十分役に立つと思う。と言っても、それでもまだ、固有名詞多すぎかな?、と思う部分はある。
これが、古代ギリシャのようなある程度予備知識のある時代だとさして気にならない、しかし、古代エジプトや古代オリエントといった、あまり知識のない時代だと、固有名詞の多さに辟易することがあり、ここはもう少し何とかして欲しかった。

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リブレットらしい、一つのテーマに絞って書かれた大変わかりやすく読みやすい本。
タイトルにあるとおり、当時のヨーロッパ人の文明観と、その価値観を支えた啓蒙とは何か、について書かれている。

啓蒙とは何か、という要するに当時のヨーロッパで流行っていた考え方をわかりやすく解説したあとに、非ヨーロッパ世界へ広がり行く膨張するヨーロッパについて解説。
そして、彼らヨーロッパ人の目に非ヨーロッパはどう映ったかを「ガリヴァー旅行記」と「ロビンソン・クルーソー」を用いて描き、最後に、彼らの偏見を科学がどう保障したのか?、を書いて終わる。
話の流れ自体がスムーズな上に、余計な要素がなくすらすらと読み進める事ができる、良著といってよいと思う。

この時代のヨーロッパ、彼らの価値観や文明観に興味がある人は読んでみるべきだろう。
特に、なぜ啓蒙のヨーロッパから植民地主義のヨーロッパへ移行してしまったのか、啓蒙と差別は矛盾しないのか?、という疑問を持っている人はぜひ読むべきだと思う。


啓蒙というと要するに、蒙を啓く、ダメな状態からよりよき状態になる、あるいはさせるという感じで、問答無用のプラスの概念というイメージがあると思う。
たいして差別というのは、啓蒙された人間のイメージからは程遠い、むしろ蒙が啓かれていない状態の人間というイメージだ。
この本を読んでそれこそ蒙が啓けたかも知れないなと思ったのは、啓蒙的な世界観が差別を助長しかねないという事、もっと言ってしまえば、啓蒙と差別は表裏一体かもしれないという事で、自身が啓蒙された段階にあるから差別をしないかというと、そうとは限らないわけだ。
この本を読むと、啓蒙という言葉に潜まされた傲慢さに気付くことが出来る。

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タイトルどおりマリー・アントワネットを主人公にフランス革命を描いた歴史小説。
アントワネットと王家の運命を縦軸に、サド侯爵や、オリジナルキャラのマルグリッド、暗殺者のシャルロットコルデー、処刑人サムソンなどが登場するが、そういったキャラクターの「出演」が無理なく本筋に絡めてあり、自然に読み通すことができる。

とにかく、普通に面白かった。外国の歴史を題材にした作品なので、ものめずらしさや、はじめて知る史実であるが故の面白さ、という部分もあったかもしれないが。
読みやすさわかりやすさという点について言えば、かなり高い評価を下すことができる。
やはり、作者が日本人という事もあって、日本人向けにわかりやすく書いており、つまるような場面はない。
外国を舞台にした歴史小説と言うと、少しばかり気後れしてしまうかもしれないが、フランス革命という史実を知るに当たって、手ごろで読みやすく、そして面白い小説であり、歴史を知るために小説を読むという層に対しても、遠慮なく勧めることができる。


もちろん主人公はマリー・アントワネットなわけだが、彼女の輿入れから始まり、基本的には彼女中心の物語展開であり、一人の人間の人生を追っかけてゆくという感じなので、複雑さはなく、読みやすい。
フランス革命というものを彼女を取囲む現象として描いており、この小説の副題に、彼女から見たフランス革命、とつけても良いくらいだ。
と、言うのは、中盤以降から、彼女はフランス革命という現象に本格的に巻き込まれてゆくことになるのだが、一読者の印象としては、それが少しばかり唐突というか、気がついたら国民の反感を買っていて、いつの間にか包囲されていた、という感じだったりするのだ。
つまりは、アントワネットの主観と、読者の印象がシンクロする構成になっており、これは計算したものなのかどうかはわからないが、よい効果をもたらしている。

それだけでなく、先にも述べたように、サド侯爵やシャルロットコルデーなどといった脇役が、本筋に無理なく絡む事によって、本筋に彩りを与えており、物語を単調さから救っている。
とにかく、普通に面白かった、良い小説だった。
外国の歴史をてっとりばやく知りたいという欲求に答えてくれるだけでなく、小説としても普通に面白いというのが素晴らしい。
もしかしたら、フランス革命に詳しい人間ならば、いくつかつっこみどころを見つけて冷めてしまうかもしれないが、自分のように、さして詳しくない人間の場合、そういったこともなく普通に楽しめる。
多分だけど、初心者向けの本だと思う、あまり知識がないほうが、楽しめるのかもしれない。
というわけで、フランス革命に興味があって、手ごろな歴史小説を読みたいって思っている人には、手放しで勧めることができる。

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