まだまだ占いや観相が生きていた古代の時代の物語。一応ジャンル的には歴史小説に属するものの、その読後感はまるで、上質な昔話を読んだような感じがある。数奇なというしかない二人の姉弟の運命を扱った作品で、歴史小説につきものの政治や戦争の話は少なめだが、そのぶん独特の情感にあふれており、新鮮な読感がある。少し大袈裟な言い方をすれば、これは人間の運命を描いた物語だ。だから歴史物語であると同時に、神々は出てこないものの、神話物語のようでもある。塞翁が馬という言葉が好きな人は読むべきだろう、そして、分量的にはやや短めの長編なので、宮城谷入門としてもお勧めだ。

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