236ページと、新書としては普通よりちょっとだけ多いというページ数ながらも、キリスト教入門というタイトルに恥じず、何から何まで取り揃え、しかもわかりやすいという、贅沢な一冊。
ジュニア新書だからと高をくくって読み始めると、その内容と密度に驚かされる。
いわゆる、若者向けの入門書にありがちな、猫なで声のキモ文体は欠片もなく、ごくまっとうに真面目に書かれた文章で、奇を衒ったところはひとつもなく、ジュニア向けだからといって媚びない姿勢は読んでいて心地よい。
著者はキリスト教と宗教の学者であり、あくまで学問的な立場からこの本を書いており、信者が書くような護教的なタイプの本ではない、そこも安心して読むことのできるポイントだ。

 ⅳページより引用
 「本書は、キリスト教の布教伝道のためのものでも、キリスト教の信仰を深めるためのものでもなく、むしろノン・クリスチャン(非キリスト教徒)を読者に想定し、(中略)キリスト教という宗教について、正しく適切な知識と理解を養っていただくために書かれたものです。」

護教的な書物ではないが故に押し付けがましさがなく、冷静で中立的な記述には透明感がある。
歴史と教義だけではなく、三大派閥の違いもきっちり抑えてあるところもすばらしい。
それだけでなく、救世軍だのモルモン教だのといったどうでもいい有象無象まで解説しているあたり、読み物としてだけではなく、事典としても価値があるのではないか、と思わせる。 
事典代わりに一冊買っておいて、気が向いたときや知りたいことがあったときに、パラパラめくるという読み方もありだろう。

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