リブレットらしい、一つのテーマに絞って書かれた大変わかりやすく読みやすい本。
タイトルにあるとおり、当時のヨーロッパ人の文明観と、その価値観を支えた啓蒙とは何か、について書かれている。
啓蒙とは何か、という要するに当時のヨーロッパで流行っていた考え方をわかりやすく解説したあとに、非ヨーロッパ世界へ広がり行く膨張するヨーロッパについて解説。
そして、彼らヨーロッパ人の目に非ヨーロッパはどう映ったかを「ガリヴァー旅行記」と「ロビンソン・クルーソー」を用いて描き、最後に、彼らの偏見を科学がどう保障したのか?、を書いて終わる。
話の流れ自体がスムーズな上に、余計な要素がなくすらすらと読み進める事ができる、良著といってよいと思う。
この時代のヨーロッパ、彼らの価値観や文明観に興味がある人は読んでみるべきだろう。
特に、なぜ啓蒙のヨーロッパから植民地主義のヨーロッパへ移行してしまったのか、啓蒙と差別は矛盾しないのか?、という疑問を持っている人はぜひ読むべきだと思う。
啓蒙というと要するに、蒙を啓く、ダメな状態からよりよき状態になる、あるいはさせるという感じで、問答無用のプラスの概念というイメージがあると思う。
たいして差別というのは、啓蒙された人間のイメージからは程遠い、むしろ蒙が啓かれていない状態の人間というイメージだ。
この本を読んでそれこそ蒙が啓けたかも知れないなと思ったのは、啓蒙的な世界観が差別を助長しかねないという事、もっと言ってしまえば、啓蒙と差別は表裏一体かもしれないという事で、自身が啓蒙された段階にあるから差別をしないかというと、そうとは限らないわけだ。
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