批評とは何かというストレートなタイトル、表題どおりに、著者にとって批評とは何かという事が、手を変え品を変えテーマを変え題材を変え、執拗に繰り返し語られる。
それは半分自己言及のようで、脳内対話を出力したと言う趣がある、けれど、意外にも読みやすく、あまり突っかかる事もなくすらすらと読み進める事ができた。
これは別に、著者がなるたけ平易に語ろうとした結果と言うだけではなく、むしろそういった部分よりも、たった一つのテーマに対して執拗にかじりつくように、徹底的に語り明かした結果もたらされたものだろう。
この本は結局、たった一つのことしか語っていないし、そのたった一つのことしか著者は興味がないかのようにさえ見える。
批評とは何か、という問いを平易にしかも例をまじえてわかりやすく、かといってレベルを落とさず、そして自分にとって批評とは何かという、やや私的なことさえまじえて、作者は語り続ける。
半自伝と言うほどではないとしても、四分の一自伝くらいにはなっており、作者という人間が、よい意味で前面にでてきている。
だからこれは、はっきり言ってしまえば作者による「批評」の俺定義であり、それ以上でもないしそれ以下でもないと、言えると思う。
これは別にdisってるわけではなくて、結局批評というモノはそうならざるをえないものだし、そういうモノなのだという、作者自身の今までの人生で掴んだ結論めいたものなのだろう。
半ば自伝、半ばエッセイ、そして、題材を変えながらオレにとって批評とは何か、それだけを語り続ける本であり、高度な内容にもかかわらず、その一貫性は読みやすさに多大な貢献をなしており、さくさく読むことができる、これは驚くべき事なのかもしれない。